エグザイル/絆


作品データ

  • 日本語タイトル:エグザイル/絆
  • 原題:放・逐
    ※広東語の読み方:フォン・チュッ
  • 英題:Exiled
  • 製作年:2006年
  • 製作国:香港
  • ジャンル:アクション
  • 上映時間:109分
  • 使用言語:広東語

スタッフ(主要制作陣)

  • 監督:ジョニー・トー / 杜琪峯
  • 脚本:セット・カムイェン / 司徒錦源
        イップ・ティンシン / 葉天成
  • 撮影監督:チェン・シウキョン / 鄭兆強

キャスト(主要出演者)

  • アンソニー・ウォン / 黃秋生
  • フランシス・ン / 吳鎮宇
  • ニック・チョン / 張家輝
  • サイモン・ヤム / 任達華
  • ラム・シュー / 林雪

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感想

タイトルの「エグザイル」を見て、日本の音楽グループを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、内容的には特に関係はありません。ただ、名前が同じというだけで、少し印象に残りやすいタイトルだと感じました。逆に日本のエグザイルの意味がわかったみたいな…

この作品は、ストーリーをかなりはっきり覚えている一本です。2017年ごろ、宅配ゲオでレンタルしてみました。

やはり舞台となるマカオの存在感が大きく、街の景色や空気感が物語と自然に溶け込んでいます。「マカオってどんなところなんだろう」と思っている人にとっては、観光映画というわけではないものの、街の雰囲気を感じ取れる作品になっているかもしれません。香港とは違って南欧風の建物があった気がします。

終盤の展開は、『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』を思い出させるような余韻がありました。最後までうまく立ち回っていたはずなのに、仲間たちと共にあえて敵の拠点へ戻っていく流れには、観ながら「なぜ戻るのだろう」と考えさせられた記憶があります。当時よく聴いていた曲(作品とは無関係)の歌詞と、映画の展開が不思議と重なって、しばらくずっと繰り返し思い返したりもしていました。

派手なアクションだけでなく、登場人物たちの関係性や選択が静かに心に残る、ジョニー・トー作品らしい一本だと思います。

タイトルについてもう一度

この映画が描いているマカオは、1999年の中国返還を目前に控えています。

そんなマカオにストーリーのキーとなる仲間のうちの1人、ウーは香港から戻ってきてマカオに居を構えることにしたような(もう一度、見ないとよくわからない)。たしか話の最初に出てきたような・・・

一般的に日本では地方から上京して、時が経ってUターンする人も多い。そんな単純なことじゃなかった気がします。また故郷に居場所をなくして上京し、時が経って、いろいろなことは時が解決したかもしれないので、再び故郷に戻るみたいなことでもない。

戻れない故郷だけど、腹を括って戻ってみたみたいなニュアンスを受け取りました(違うかも)。

こういう複雑な心境に間接的に時代の空気が感じられるかもしれない。

ポルトガル統治(自由)の終わりが見えていながら、次の時代(自由なのかもわからない)の輪郭はまだはっきりしない。

そんな不安定さが作品全体におそらく静かに流れていたのだろうと思います。

原題の「放・逐」は、社会や組織から切り離され、行き場を失った存在を突き放すように表す言葉です。

一方、英題の「Exiled(エグザイル)」は、追放されたという事実よりも、その後をどう生きるのかという状態に目を向けた表現に感じられます。

そして日本題の「エグザイル/絆」は、その中でなお残る人と人とのつながりを、そっとすくい上げています。

先が見えない時代に、帰る場所を失った登場人物たちが、新天地に行かず、仲間と共にいる選択をする。

日本の氷河期世代にとっても、どこか他人事とは思えないものがあるかもしれません。日本にいながら同国人であるのにどこか棄民のような気分を持っている人もいたり…時代の流れに翻弄されつつも、ジャンプなどの少年漫画で培った仲間という信念を心のどこかに持ち続けている人もいるかもしれない。

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